12/2/2021

環境によって解決しづらいことも

介護の仕事で優しく人間的に接するほど、世間からの疎外感や孤独感を抱く高齢者に対して「手を握りたい」「そばにいてほしい」などの行き過ぎた親密感を与えてしまうことがある。高齢者を一人の人間として大切に扱えば扱うほど、セクハラを助長するという皮肉な結果を招きがちだ。仮に高齢者の言動で困ったり、不快感を感じたら、決してその気持ちを抑えてはいけない。「お年寄りは弱い立場にあるのだから」という我慢も、一見ヒューマニズムのようだが、無意識に高齢者を弱い者とみなしているだけである。

そこで、セクハラの事例を議題にしたサービス担当者会議の開催をケアマネジャーに求めるのだ。専門家による集団討議で検討することで、閉じこもりによる孤独感や仲間との触れ合い欲求が原因であったことが判明するかもしれない。自分に向かっていた性的欲求は、別の生活ニーズの表れであったかもしれないのである。もしも、この会議の場で今まで見えなかったニーズが判明できたなら、ケアプランに新しく盛り込むことも可能になり、適切な介護サービスも提供できるようになるだろう。また、高齢者には幼児言葉を使わないほうがよいのが、セクハラの場面では例外だ。性的言動の予防をするには、自分を異性として意識させないような雰囲気をつくることである。性的接触を求める高齢者には、幼児言葉を有効利用し、ユーモアの精神で子ども扱いしてしまうのだ。このような対応術も、大切な介護技術なのである。