ドーナツ 「on the street of Kathmandu」
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おいしそうに、ドーナツをほおばる少年。
カトマンズの、夕方の出会いでした。
街の安食堂が建ち並ぶ路地。
太陽がほとんど隠れ、日中、いっぱいに、日の光を浴びていた路地は、影がどんどん、大きくなっていました。
ストリート・キッズを、ずっと、取材していて、この少年も、よく見かける子でした。
でも、この子は、他の子たちと、何か、違う雰囲気がただよっていました。
多くのストリート・キッズは、仲間単位で動いています。
でも、この子は、いつも単独行でした。
僕は、この日、声をかけてみました。
「いつも、君のこと見かけてるんだよ、知ってた?」
「うん、オレも、気がついてたよ」
「変なヤツが、カメラもって、オレを見てるってね…」
「そう? 変に見えた?」
「最初はね。でも、オレたちの裏の情報じゃ、あんたは、別に、害はないって…」
「そりゃ、安心したよ」
「ところで、君は、どこの村から来たの?」
「ずーと、東のほうさ」
「君は、いつも一人でいるんだ?」
「別に、他のヤツらと敵対してるわけじゃないけど…群れるのがきらいなんだよ」
「そうか、その気持ちわかるよ。僕もそうだから…」
「あんた、ドーナツ食うかい?」
少年は、そういって、もう一つ持っていたドーナツを、分けてくれました。
日が沈んだ路地に腰掛け、しばらく話し込んでしまいました。
「それじゃ、オレ、行くから」
夜の帳がおりた、カトマンズの街の中に、吸い込まれてゆきました。
不思議なことに、この少年を、その後、見かけなくなりました。
他の子たちに聞いても、誰一人、行方を知りません。
僕が感じた印象では、この少年が、一番、たくましいオーラを発していました。
あれから、何年もたち。
少年は、今頃、どうしているのかな?
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