「氷の回廊」 ノートブック 3
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僕がリンシェ村で過ごした最初の冬は、校長のカルマの家に居候させてもらいました。若く、とても熱心な先生です。僕たちの感覚では、学校には夏や冬の休みがあるはずですが、ここでは村や子どもたちの希望で、日曜日以外は一年中、学校があります。ただし、麦の刈り入れの季節になると、先生も子どもたちも、それぞれの家の畑の手伝いで、遅刻したり早退したりします。
「学校っていうのは、子どもたちには夢への、親たちには希望への手がかりを作ることころかもしれないね。我々は、チベット仏教の教典からも、生きていく礎となる様々なことを学べる。学校で学ぶことと、チベット仏教から学ぶこと、どちらの知識も、人を完成させるために必要なものだと思うよ」
カルマ校長は語りました。学問と仏教の教えは、この土地に暮らす人にとって、切り離しようのない関係にあるような気がします。
抜けるような空の日は…といっても、ほとんど毎日ですが、子どもたちは校庭で車座になって、一年生から八年生まで、みんないっしょに授業を受けます。先生はたったの三人。一冊の教科書を何人もで囲んでいます。
紙のノートはほとんどありません。彼らの使うノートは、四〇センチほどの、握りのついた小さな板です。木を削ったペンに、泥がインクのかわりです。極度に乾燥した気候のせいでひび割れた手で、書いては消し、書いては消している姿が目に焼き付いています。この板のノートも、ほとんどが兄さんや姉さんたちから譲ってもらったものです。
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