雨宿り 「on the street of Kathmandu」
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雨の日のことでした。
急に降り出した、激しい雨で、カトマンズの路地裏では、大急ぎで、みんな、雨宿りの場所を探していました。
僕も、カメラだけぬれないように、ビニール袋に、入れましたが…
でも、雨に打たれるのが気持ちよくて、そのまま、立っていました。
大慌てで走る回る人たちを、眺めていました。
二人組の少年が、雨を楽しんでいるように、歩いてきました。
ちょうど、僕の目の前に、インド製のジープが停めてありました。
年長の少年が、ドアを触ると、ロックがかかっていませんでした。
二人は、ジープの中に入り、シートに腰を下ろしました。
様子を見ていて、盗もうという、雰囲気ではありません。
ただ、雨宿りに使っているだけのようでした。
キーをさしたままのジープの、ワイパーを動かし、フロント・ウインドウ越しに見える空を、少年たちは、楽しそうに眺めていました。
僕のそばに、一人の紳士が、走ってきました。
車の持ち主でした。
少年たちの、雨宿りのいきさつを説明すると、持ち主の男は、笑顔で言いました。
「私も、子供の頃、あの少年たちと同じように、停めてある車で、雨宿りを、何度もしたもんですよ…」
男は、車に向かわず、そのまま、雨がやむまで、30分ほど、僕のそばにたって、話をしました。
「子供だった頃、車に憧れていました。それは、手の届かぬ、雲の上のもののようなものでしたよ…」
「あの子たちの嬉しそうな時間を、少しでも、邪魔しないでいようかな…」
雨が上がり、持ち主の男は、水たまりを避けず、ゆっくりと、車に向かって歩き出しました。
少年たちが、気づき、あわてて、ドアを開けようとしています。
男は、笑顔で、少年たちに手を振りました。
ドアから降り立った、二人の少年の瞳は、瞬間、とっても輝いているのを、僕は見ました。
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