「氷の回廊」 リトル・ラマ
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峠に向かって歩く二つの人影がありました。タムチョスと、兄のラマ・ドルジェです。
初夏の太陽はまぶしく、よどみのない空の青は、北の空に向かうにしたがってだんだん濃くなって行きます。
二人は、黒い石を探しに出かけたのです。
ラマ・ドルジェは一八歳。一〇年前にリンシェ寺で出家しました。毎夏、リンシェ寺では、豊かな麦の収穫を祈って、砂曼陀羅の儀式があります。白、緑、赤、青、黄、黒の鉱物を砕いて、鮮やかな色砂を作り、九日間かけて曼陀羅絵を作り上げるのです。ラマ・ドルジェは、この砂曼陀羅を作る若き僧院長の助手に指名されました。
ラマ・ドルジェは、出家して何年もの間、茶坊主を勤めていました。修行僧たちに、いつも熱いバター茶を注ぐ役の少年僧でした。真冬の凍れる風が寺院内に吹き込む日も、裸足で台所から銅のポットを抱え、寺の中を駆け回っていました。
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