家路
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北インドのウッタル・プラデッシュ州の、小さな村で、僕は、大好きな、「あぜ道トレッキング」を、続けていました。
「あぜ道トレッキング」とは、田んぼのあぜ道を、気の向いたまま歩き、道に迷ったら休み、夜になったら、野宿や、民家に泊めてもらう、楽しいトレッキングです。
その日も、日が大地に沈んだ頃、ホタルを見ながら、今日は野宿だ…と、思っていた時でした。
「おーい! そこを歩いているひとーーー! よかったら、乗っていかないかーーー!」
後ろの方から、大きな声が聞こえてきました。
何やら、楽しそうな歌声も混ざっていました。
「いやーーー助かりますよ。乗せてもらえますかーーー?」
そう返事をしました。
「どこさ、いくだね? どこまで乗っければいいか?」
「ニューヨークまでお願いします!」
「ニューヨークって、どっちの村だべ? ここから、何時間くらいかかるだ?」
「えーと、このすごくかっこいい車で行ったら…3年くらいかかるかな…」
「?????」
若いお兄ちゃんたちは、きょとんとしていました。
僕の話すヒンディー語は、ひどくネパール訛のある、ひどいものなのです。
「今日、うちさ、泊まってけ」
「うん、ありがとう!」
「兄ちゃん、どっから、来た?」
「ネパールから歩いて…」
「なんでまた、歩いて来たか? バスに乗る金、ないの?」
そう心配してくれました。
「いやいや、あんまり田んぼがきれいだったから、あぜ道をつないで、どこまで行けるか…を、試しているんですよ」
「なんか、変わった兄ちゃんだな。ま、でも、いいさ。うちで、こんばんは、たっぷり食べてけ!」
「はい、ありがとうございます! ところで、こんばんは、野菜カレーですかね?」
「なーに言うとるんだ? そんなの決まってる。カエルのカレーだ…」
それを聞いて、僕は、仰天してしまいました。
「今日泊まっていきな…」という、好意を、数知れず受けて来た僕でしたが、「カエルのカレー」にはたまげました。
牛車に乗り込んで、あたりに、夕闇が迫る頃…
ゲロゲロゲー という、カエルの鳴き声が、今宵は、いちだんと、響き渡っていました。
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