舞姫の大地 西ネパール、ダンガウラ・タルー族
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5mを超える巨大な壺で仕切られた家。謎につつまれた民族の伝説を伝える、壺に刻まれた絵物語。そして妖艶な舞姫たちの踊り。南西ネパールに暮らす彼らをタルー族という。
ヒマラヤの麓に残されたジャングル、ネパール・西タライ平原。不思議な妖気に満ちている。その森には、世界でもまれな舞姫たちの踊り、不思議な壺の文化を持つタルー族がひっそりと暮らしている。民族学者すら、未だ訪ねたことのない村がある。
ネパールといえばヒマラヤの国のイメージが強いが、亜熱帯のジャングルから、温帯、寒帯、高山帯と実に変化に富んだ気候区を持つ。標高200mほどの西タライの森は亜熱帯に属し、ネパールではここでしか見られない深いジャングルに覆われ、トラやサイが生息している。
彼らは青や赤、黄色の原色鮮やかな民族衣装を日常に着用し、タルー族の伝説よれば、彼らは遙か昔、インド・ラジャスタンの王族であったという。イスラムの侵攻で戦いに敗れ男たちは戦死し、女たちだけが奴隷と召使いを連れて、タライ平原に逃げてきたのだという。奴隷たちはマラリアが蔓延する森を必死で開墾し新天地を作った。その名残か、タルー族の男はとてもよく働く。また、女たちは食事の時、足を使い、男に皿を渡す習慣が未だに残る。鮮やかな原色の民族衣装、代々受け継がれる古い銀製の装飾品、どれをとってもネパールの他の民族とは全く違っている。
驚かされるのは、長さ50mほどもあるロングハウスである。家の中は5mを超える巨大な壺が立ち並び、部屋や壁が壺でできているのだ。同じ氏族の6〜8家族が生活をともにしている。部屋の入り口に当たる壺には、精霊のレリーフや村の伝説が描かれ、絵物語が刻み込まれている。ほとんどの壺は、米や麦などの穀物の貯蔵用として使われているが、一番奥にある壺でできた部屋は、米粉で描かれた手のひらの形をした精霊が宿る神殿として使われている。精霊の様々な文様は不思議なオーラを発している。生業はタライ平原の沃野での米と麦の二毛作、川で網を使った大ナマズを捕らえる漁業、森での狩猟だ。
なによりもタルー族の文化を神秘的にしているのは、舞姫たちの踊りだ。3月中旬に催されるホーリーの祭りは、日本や東南アジアの照葉樹林文化に広がる、歌垣そのものなのだ。満月を挟み10日以上も続く祭りのハイライトは満月の夜だ。かがり火が焚かれる中、娘たちの踊りは明け方までも続き、妖艶な歌声がジャングルに遙かに響き渡る。
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